こんにちは!!やっぱりアメコミ映画が公開され尽くすと息を潜めてしまうワキリントです。
前回の『ジョーカー』復習回から実に1ヶ月以上が経過している今日この頃ですが、その間体調をぶっ壊していたり引くほどの睡魔に襲われたりと、数々の試練に足を絡め取られ両の眼を閉じざるを得ませんでした。でも書こうとしてた記事はあったんですよ。今回はようやくそちらをお届けできそうです。
なんやかんや3年くらい続けている本校ですが、このぼくの類稀なる文章力と魅力で皆様の粘り強いご愛顧のおかげでいつの間にやらアクセス数が2万回を超えておりました!!
1万回は桁も変わって変わりばえしますが、2万と言われても…というそこのあなた。さてはこの世で1ページも漫画読んだことないでしょ。
だって2万回って…
★彼のシュート回数と並びました★
そう、日本のバスケットボール人口を飛躍的に向上させ、未だに人々の心を掴んで離さないスポーツ漫画の金字塔!『SLAM DUNK』の主人公!
天才・桜木花道が達成したシュートの回数と同じなんですよ!!
中学校時代、わかりやすくこの作品にどハマりした結果、案の定バスケットボール部に入部した過去を持ち、2万回に届くことなくベンチをあっため続けたこのぼくが遂に辿り着いた2万の数字!!
正直バスケットボールに対する情熱は引くほどなくなりましたが、ぼくをその世界に引き入れたこの悪魔的に面白い漫画への愛、情熱、感謝の念は時が経つほどに増すばかり!何なんだこの漫画は!!
はぁ???
同じ週刊連載という土俵の中、そして競争の激しいジャンプ黄金時代においてこの漫画が成し遂げたことはとんでもないことばかりすぎて…名だたる漫画も赤子同然よぉ!!
というわけで今回はただただ『SLAM DUNK』を褒めちぎりまくるバカみたいな回になっております。
オレは今なんだよ!!!!
★この世の常識・湘北メンバー★
まずはこの物語を語る上で欠かせない登場人物、湘北高校バスケットボール部の面々を説明しなければなりません。
バスケットボールは5対5で行うスポーツ。湘北高校バスケ部はライバル校に弱点と言われるほどベンチの層が薄いですが、その分スターティングメンバーは個々の能力はトップクラスと言わざるを得ない実力の持ち主!!
少数精鋭にすると個々のストーリーを綿密に描けるので漫画にとってはいいことしかないわけです。一人一人に交代できないプレッシャーがかかるし怪我がそのままチームとストーリーに響くんですよ。
今の流行りは「推しキャラ」を作ることなんでしょうが、変にキャラクターを増やしてしまうと推せるほどの深みが描けないんですよ。今じゃなくても『キャプテン翼』は翼くんか岬くんでしょうし、『タッチ』は達也でしょう。あんだけプレーする人数が多いのに深みのあるキャラって。読んだことないけど。そうなってくるとバスケットボールというのは漫画だけでなくあらゆるお話にピッタリなスポーツなんですよね。
というわけで深みのある湘北メンバーをご紹介していきます。
メンバーその1 桜木花道(さくらぎ はなみち)・1年・PF (パワーフォワード)
本作の絶対的主人公。中学時代から地元ではその赤髪リーゼントが有名な不良でしたが、バスケットボールとの出会いで運命が変わっていきます。自らを「天才」と称するほどの自信家で、おだてられると調子に乗ってさらなる才能を開花させるタイプ。
バスケットボールに限らず、スポーツを始めた人全員が必ず通る道である「基礎の基礎をやらなければならない焦ったさ」「思ったようにうまくいかない自分のプレー」といったような障害に真っ向からぶつかっていく愚直さ、転んでもただでは起きないハングリーさ、ド素人だからこそぐんぐん伸びていく技術。まずは彼に感情移入するんですよ。
余談ですが彼が一度練習をやりすぎていつの間にか寝てしまい、試合に寝坊してしまうという回があるのですが、その際自転車を電車に持ち込むという描写がありまして、それを真に受けてやろうとしたぼくは改札にバイィィィィィンと拒否られて「え!?でも花道は乗ったよ!?!?!?」となりました。
皆さんは彼が主人公補正のかかったスーパー破天荒だということを忘れないでくださいね。彼が常識だと思ってはいけない。
メンバーその2 流川楓(るかわ かえで)・1年・SF(スモールフォワード)
彼が花道にライバル視されている「真の天才」。中学時代からその実力は超高校級で、花道に敵視されていても全く気にしていない様子。じゃねぇんだよなぁ!!
天才だったからこそ抱えている「孤独」が彼のメインテーマ。「天上天下唯我独尊男」と呼ばれるほどの飽くなき強さへの執着。もっと高みへ、もっと高みへ…と上しか見ていない彼には、「追いかける者」など眼中になし。しかし「ヤツ」は違うんです。
どれだけ目を背けようとしてもライバルに名乗り出ようとする「桜木花道」という男はその類い稀なる運動神経で追いかけてくるのです。そんな花道をなんだかんだ気にかけてるんだよなぁコイツゥ!憎めねーぜ!
どれだけ女の子にモテていても我関せず、ただただ惰眠を貪るだらしなさ(?)も憎めたいポイント高いですよねぇ。天才ほど余計なことには気を向けないんですよ。モテるためにバスケやってるような奴は流川の寝返りに押し潰されてあの世へ行け。
メンバーその3 赤木剛憲(あかぎ たけのり)・3年・C(センター)
湘北高校の精神的支柱であり大兄貴的な存在。1年生の頃から湘北バスケ部で唯一全国制覇を目指していた熱い漢であり、耐えきれず辞めていった周囲との温度差に悩んできた末にようやくチームが付いてきてくれるようになった我慢の漢でもあります。
3年目にしてようやく掴んだ全国への切符。夢にまで見た舞台に近づくにつれ「行けるのかもしれない」とか思ったり、優勝候補の同じポジションと対峙して「勝てる気がしない」とか思ったり…長年そのことだけを考えてきたからこその様々なプレッシャーを抱えてるのに感情を表に出せないんだよなぁ。キャプテンって、リーダーって、損な役回りなんだよなぁ。いいですか皆さん、この漫画は人生にも役立つんだ。いいですか。
この漢のすごいところはそういったプレッシャーから絶対に逃げないところです。たとえ押し潰されるギリギリであっても、彼を心の底から信頼する仲間たちやライバルからの叱咤激励で何度でも立ち上がれるのは、彼のバスケットボールに対する真摯な愛情が常に誰かに見守られていて、支えてあげようと想ってくれる人々に出会えてきたからだと思います。この作品で一番の幸せ者かもしれない。
ちなみにゴール前で相手のシュートをブロックする「ハエたたき」、顔がそうだから以外に命名の理由が見つからない迫力満点の「ゴリラダンク」など、必殺技らしきものも持っています。
全国の少年漫画家の皆さん、必殺技は3年かけてようやく会得するもんです(違う)。
メンバーその4 宮城リョータ(みやぎ りょーた)・2年・PG (ポイントガード)
バスケットボールを始めると必ずぶち当たる壁というものがあります。それが「どんだけ努力しても体の大きいやつには勝てない」という絶対的価値観。そして多くの初心者が涙を飲んでバッシュを封印したことでしょう。彼が登場するまでは。
そう、彼はバスケをするにはあまりにも小柄なその体躯のポテンシャルをテクニックとスピードに極振りしました。そうして磨き上げた技術はまさにNBA級。針の穴を縫うようなドリブルと目にも留まらぬスピードで繰り出されるトリッキーなパスで全国のジャイアントたちを翻弄する姿は痛快そのもの。
「たとえチビでもバスケはできる!」ある意味この漫画が生み出したものの中で一番の功績だと思います。「街中でバスケやってる奴」のイメージはだいたい彼のものです。日本という世界的に見ても体格で恵まれているとは言えないこの国で生まれた作品だからこそのキャラクター。ぼくは彼が一番好きですね。好きな女の子のセンスもいいし。
メンバーその5 三井寿(みつい ひさし)・3年・SG(シューティングガード)
出ました湘北の名言製造機。言わずと知れた「あきらめたらそこで試合終了でゲス」「バスケがしたいでやんす」など、三井のいるところ名言あり、名言のあるところ三井あり、と言ったところでしょうか。
中学MVPの鳴り物入りで入部したのも束の間、怪我によってグングンとバスケットボールから遠ざかってしまい、ついには不良グループのリーダー的存在にまでなってしまったこともある三井。復帰してからはブランクによる体力のなさや古傷の痛みに悩まされながらも、試合の流れを変えるスリーポイントシュートでチームを裏から引っ張る仕事人です。
期待されていたにも関わらず辞めていき、バスケ部と一悶着起こしたこともあって当然ながら赤木とは複雑な関係でしたが、3年という長い年月を隔ててようやく同じコートに立ち、互いに互いを認め合って結ばれた絆が胸をバチーーーーン!とうつわけです。1年の犬猿の仲によるハイタッチもいいですが、試合中にさらっと行われる3年コンビの静かなグータッチの方が好きです。どなたか分かってくれる方はいませんでしょうか。現在会員を募集しております。原辰徳もいます。
メンバーその6 木暮公延(こぐれ きみのぶ)・3年・SG
湘北高校は選手のベンチ層が薄い。これは先ほども申し上げましたが大した奴はいないとはワタクシ一言も申しておりません。湘北には木暮がいます。いいですか皆さん。湘北には木暮がいるんですよ。KAT-TUNには赤西も田中も田口もいたけど辞めてった。でも中丸くんはずっといたんだ。それと同じように湘北には、赤木の熱に耐えきれず多くの同期が辞めていき、怪我で三井が抜けていった湘北にはいつだって木暮がいたんだ。
いわば彼はスーパーサブ。サポートに徹し、裏方に徹し、3年生にしてベンチウォーマーという憂き目に遭っても尚彼はバスケを辞めなかったんですよ。そういう男に神は微笑んでくれるんだいいか。才能でも図体でもねぇ。「想い」だ、「想い」がこのThe (「ジ」と読んでください)・木暮公延の最大の武器なんだ。
あとメガネを外すとめっちゃイケメン。
その他にもいるんですよ。花道をバスケの道へと引き入れた赤木の妹・春子さんとか、不良時代からバスケにのめり込むまで花道を気にかけてくれた桜木軍団、マジで何回ダブってんの?ってくらいフケ顔が印象的な三井の不良仲間・鉄男とかね。こうやって周囲の人間の支え合ってこそスポーツというのは輝きを帯びます。自分のためにやるスポーツなんていうのはこの世に存在しない。最後に紹介するこの男もまた、若き才能のために己の人生を捧げたスポーツマンです。
メンバーその7 安西先生(あんざい せんせい)
湘北高校バスケットボール部の顧問をしている教師。尊敬と愛情を込めて本名ではなく「先生」と書かせていただきました。今回の記事の発端(忘れてたんじゃない?)である「シュート2万回」を花道に命じたのも彼の練習メニュー。
ふくよかな体に似合わずバスケットボールの技術は一流。それだけでなく指導力、判断力、人徳も抜群の先生は「白髪仏(ホワイト・ベアード・ブッダ)」と呼ばれ、花道にたるんだアゴのお肉をタプタプされても「ホッホッホッホッホッホッ」と笑うだけ。
しかし過去には真逆の「白髪鬼(ホワイト・ベアード・デビル)」として恐れられており、反発した教え子との悲劇によってバスケットボールから離れていたこともありました。
そんな過去を経て現れた1年生の逸材。チームは苦しい状況にありながらも奮闘する彼らを見て、思わずフッと笑みがこぼれてしまう安西先生がみんな大好きです。
★シューズの音がする、汗の匂いがする★
さて、日本国民が義務教育で学ばなければならない7人の紹介が終わったところで、ようやくこの漫画の素晴らしさについて語りたいと思います。
先ほどの章では語りきれなかったキャラクターがこの作品には数多くいるんですよ。湘北メンバーだけじゃなくて全員バスケを愛し、バスケで繋がった絆を愛している。色んな性格の選手が登場しますが、悪い奴なんて一人もいない。常に誰かを案じ、誰かの背中を追いかけ、誰かに支えられながら生きている。全員推す以外の選択肢は残されていないわけです。
ちなみにぼくの一番好きなキャラクターは湘北高校の永遠のライバルである陵南高校の2年生、福田吉兆。
厳つい見た目とは裏腹に繊細な心の持ち主で、褒められれば褒められるほど伸びるタイプ。スポットライトを浴びることを至上の喜びとするこんな奴でも憎めないからすごい。
次はややトリッキーですが人気絶頂で終わらせた潔さ。
ぶっちゃけた話、今の尾田栄一郎さんにアラバスタ編やエニエス・ロビー編を超えるようなストーリーを作れるかと言われると「NO」と言ってしまうと思うんですよね個人的に。こればっかりは作者の一存で「辞めます」「続けます」って決められる話じゃないんだろうけど、だからこそあんなところでいきなり、それでいて美しく風呂敷を畳んで、伏線を回収して、後味のいい終わらせ方ができたというのは実に素晴らしい。
全世界の漫画家が必ず迎えなければならない「最終回」。この作品をぼくが世界遺産だと呼ぶのはこの「終わりの美学」にあるのです。
最後に特筆すべきは画力。週刊連載でこのクオリティを維持したまま走り抜けた作品が今まであったでしょうか。信じられない。もちろん「描き込めば描き込むほどいい」と言っているわけではありません。不要なものを最大限まで削ぎ落とし、普通のバスケットボールをする光景を絵画のように描く作者・井上雄彦先生はすごい。語彙力などとうの昔に尽き果てた。
この漫画には野球漫画のような「秘打・魔球」もありませんし、シュートしたボールが虎の形に見えるような演出もありません。徹底的にただただリアルなバスケットボールを描いています。ボールの生地感まで分かるような作品が最終的にどうなっていくかというと、ページを繰る毎にまるでそこで鳴っているかの如く「キュッ、キュッ」とバッシュがコートを踏みしめる音が聴こえ、必死にボールを追う彼らの汗の匂いが漂い、気づけば共に息を荒げてしまっているんですね。
湘北高校最後の試合、終了直前ラスト1分の描写なんてすごいんですよ。
セリフがねぇの。
でも読者はこれまでずっと彼らとバイオリズムまでシンクロさせてきたから、息遣いや視線、握りこぶしの握り具合とかでいとも簡単に感情まで見てとれるって寸法なんですよ。こんなに没入感のある漫画体験は後にも先にもこの作品だけですね。行くとこまで行った漫画にはセリフすら不要なのです。
★これからも続くよ★
さて、この辺で楽しかった時間も終わりにしたいと思います。
特別企画の時はなんだかアメコミじゃないものを紹介するみたいな感じになっていますが、アメコミが日常なんですから当然なのです。しかしご存知の通り映画の公開はもうないし、運良く特別企画をしたけどもうそのカードも切れない。
次の授業は一体いつになってしまうのか!?!?
でもみなさん、安心してください。3年やって2万回、これが多いのか少ないのかは分かりませんが、みなさんに支えられて続けることができているのは確かです。
この授業もみなさんの日常の中の貴重な時間を奪って読ませている自己満足にすぎないと言われればそれまでですが、だからこそみなさんに楽しんで読んでもらえるように精進していく所存です。
え?そんなこと言って本当にやれるのかって?やれるに決まってるでしょ。