お姉さんのタプタプ
電車で座っていると、綺麗なお姉さんが私の前に立つ形になった。
その後ろに元いたバイト先の人がいたので「お?」と見ていた流れで、にしても綺麗なお姉さんやな、くらいに思っていたのだが、その人のスマホケースに、『THE FIRST SLAM DUNK』の特典でついてくる安西先生タプタプシールが貼ってあった。
なんかいい。とてもいい。
オシャレ目に整えたファッションにはあまりにもかけ離れたタプタプシール。昨今では透明なスマホケースと本体の間に台紙ごと入れることで、気が変わったら剥がす手間なく入れ替えることだってできるのに、直にケースに貼っていく思い切りが尚いい。
正直綺麗じゃなくても素晴らしく素敵な光景だ。私がSLAM DUNKのスペシャルビッグファンだということを差し引いても、大理石みたいなケースにタプタプシールを貼っているのは目を引くのではないだろうか。
もしかしたら甥っ子とかが目を離した隙に貼ってしまって、でもそれも想い出か、とそのままにしといてあげているのかもしれない。そんな人生を勝手に想像し、更にグッときている。真向かいに立っているお姉さんの人生を。
そんな晴れやかな気持ちとの釣り合いをとるかのように、タイトルを卑しくしてみた。
どうだ。騙されたか。