こんにちは!一番偉い人へ〜おれたちは〜今何をすーるべきかぁ〜♪どうもワキリントです。
前置きに困ったら歌うしかねぇやな。聴いていただいたのはとんねるず『一番偉い人へ』でした。ぼくの前置きはどこかしらで回収される伏線として機能しているのは歴戦の読者さんならうっすらと気づいておられるでしょうが、さぁ今回はどこでしょうねぇ。
さて、そんな今回はフェーズ4締めくくりの作品、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の復習回となっております。
前回、ただならぬ想いがこみ上げてしまい、記事書きながら泣いちゃったんですが、果たしてその想いは昇華されたのか!早速レッツゴー!
★あらすじ★
前作『ブラックパンサー』(2018年)に引き続き、舞台は架空の国ワカンダ。世界最強の鉱石ヴィブラニウムを有し、その加工によってあらゆる科学が独自の発展を遂げた最強の国です。
国王であり最強の戦士ブラックパンサー先生でもあるティ・チャラさんの宣言によって、有史以来長らく続いていた鎖国を解き、諸外国との交流を始めたはいいものの、志半ばでティ・チャラさんが亡くなってしまいます。
最強の矛であるが故に、最強の盾としても機能していた戦士ブラックパンサーの死は、その力を手にするためのハート型のハーブを前作で燃やし尽くされたワカンダにとって相当のダメージ。精神的にもしんどいのに…やめてよ!
そんな最中、欲に塗れた諸外国が海中にヴィブラニウムが眠っていることを発見!そこから巻き起こる国家間の戦争!どうするワカンダ!そしてどうなる!ブラックパンサー!!
★キャラクターと見どころ★
さて、続いては見どころ!人間描写に長けているライアン・クーグラー監督ですから、当然一番は登場するキャラクターになってまいります。
まずはシュリさんね。前作ではお転婆で冗談を飛ばすポップな天才少女でしたが、兄であるティ・チャラさんを亡くした影響か、引き継がれているのはワカンダの古臭い因習に対する拒否感のみ。一番影になりそうなとこだけがピックアップされて悲しかったな…癒しやったのに…
ティ・チャラさんの死後、女王としてワカンダを守る任を受け継いだのは母のラモンダさん。ベストアクトを決めるとするならこの方でしょう。全員そうですが、その中でも一際人間臭かったからかな。
国王の親衛隊、ドーラ・ミラージュの隊長オコエさんは、ちょっとしたユーモアからシリアス、死と隣り合わせのアクションまでこなす大立ち回り。予習回で懸念していたアクションのキレの良さは大幅に改善されておりました!
見た目は粗野でも一本筋の通った大男、エムバクさんは、ティ・チャラさんの友としてシュリさんを見守る優しさを見せるように。「兄」は無理でも「兄貴」はできるんでこれからも頑張ってほしい。
恋人を喪ったナキアさん。王や戦士ではなく、人としてのティ・チャラさんを愛し、そして愛された彼女。ワナワナ震える唇が印象的でした。唇ワナワナ女優さん。
前作でワカンダに命を救われて以来、国際社会で孤立しがちなこの国を味方してくれているエヴェレット・ロスさん。コミックスにはない新たな設定も加わり、板挟みに拍車がかかっておりました。でも貴方のおかげで世界を諦めなくて済むよ。
新キャラクターのリリ・ウィリアムズさんは「若く才能ある黒人」として、シュリさんに匹敵する頭脳をフルに発揮。期待していたポップさはなかったものの、あったら逆に嫌いになってたかも。そういう作品でした。単独ドラマは少しだけ期待しとこ。
そして何より強大な敵として立ちはだかったネイモアさん。彼が統べる海底の国タロカンの描写は前作でワカンダを初めて目の当たりにしたときのワクワク感がありましたが、こと戦闘になると無双状態。CGのヌルヌルも無くなっててよかったです!水中の人なんで心配してたんですけども!
コミックスにはなかったメソアメリカ文明由来のオリジンを持つことで、彼の持つ価値観、行動理念に説得力も生まれていました。前作に引き続き、白人社会による搾取への批判をエンタメに散りばめるのはさすがの手腕ですね。
★アガらなかった自分を褒めたい★
さて、以上で復習はおしまいです!予習回にて弔いだけの映画にだけはするんじゃないと願い、そしてそれは見事に叶いました。
しかし何でしょう、このアガらなさ。ブラックパンサーの復活、想いがぶつかるアクション、高らかに叫ばれる「ワカンダフォーエバー!」…音楽もいいし、各所に盛り上がるポイントはあるし、現にワカンダ人は喜び称えあってるんだけど、こちらは心躍らない、いや、躍れない…カタルシスっていうの?それがなかったんですよ。
理由は簡単、今作が国家間の戦争を描いているからです。仮にギリギリのところで平和的な解決をできたとしても、数々の犠牲の上に成り立つそれにアガったりなどしてはいけないのではないでしょうか。それをどこかで感じたからこそ、ぼくもブラックパンサーをヒーローとは思えなかったのでしょう。
個人的にも前作でティ・チャラさんが悩み抜いて出した結論が停滞、寧ろ後退したのではなかろうかというワカンダと他国との関係は、もっと夢のあるものにしたっていいのではないかと思ってなりません。
もちろんこれは映画、フィクションな訳ですから、カタルシス増し増し、夢増し増しの展開にも当然できたわけです。しかしそれをやらなかったのは、カタルシスも夢もないこの現実と、そこで必死に生き抜いたチャドウィック・ボーズマンさんに対して真摯に、ひたすら真摯に真面目に向き合った結果ではないかと思います。
ファンとして何か想わないわけがない。ただしかしこうならなくても良かったんじゃないか。そこで揺れ動く心。これぞまさしく、心にもどかしいカタルシスですよ。
しかしおかげで、現実に目を向けられたと思うし、ようやくチャドウィックさんのいない世界に向き合えるような、そんな気がします。彼の意志を真に受け継ぐ者、それは我々かもしれない。そして人は歌うわけです。一番偉い人へ〜おれたちは〜今何をすーるべきか〜♪、とね。
映画の中の一過性のカタルシスなんかより、もっと大切な何かを教えてくれた今作。優しく、気高く。生きようと思う次第です。カッコつけすぎてるな。この辺にしときましょう。それでは!!
バーイ、センキュー。