チョモラマン・スクラップブック

色んな「ヒーロー」によって作られた、ぼくの1ページ

藍反射、十字架、雀魂

『藍反射』という映画を観た。

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引用:https://x.com/ranhansha_movie/status/1996052473270992951

20代の未婚女性が突然の診断に直面し、身体の悩みを誰にも相談できないまま、周囲との関係に悩み、自分を見つめ直していく姿を描く。(公式サイトより)

 

例によって例のごとく、役者の学校時代の同期が出演していたので観た映画。婦人科の看護師として出演していたが、柔らかい雰囲気は「居そう」の一言に尽き、現時点での彼女が持っている味を理解し活かしてくれる人と出会えたのは幸せなことだろうと思う。

 

女性の視点から多角的に描く、生理・妊娠・不妊治療のリアル。人間の分だけその受け取り方がある。「生理なんて無くなってしまえばいい」という言葉を、妊娠しているかもしれない不安故に共感できないように。知り合いの子供を素直に可愛がれていない自分に気づいた時のように。

 

説教臭い話に仕上がってはおらず、今まさに悩みを抱えている人々の挫けそうな身体をそっと支えてくれるような映画だった。不安を聞いてくれる人、側に居てくれる人、そんな存在がいることの、なんと有難いことか。

 

 

 

 

 

そう、私は側に居てやれなかった。

 

離婚した元妻との間には、自然に妊娠して出産までしてくれた息子がいる。2人のことを大切に思うのなら、私は空気を察して芝居を辞めて早々に就職し、言われた通り引越しの準備を粛々と進め、一緒に暮らせる環境を整え、辛い時苦しい時に側に居てくれる人になるべきだった。

 

分かっていて、芝居を選んだ。『藍反射』では黙って一人で不妊治療に励んでいた主人公に謎にキレる会社員の彼氏と、中学生の彼女が妊娠したかもしれないと分かった瞬間よそよそしくなる高校生の彼氏、2人のヤベー男が登場しているが、分かっていて尚、経済的に上手くいく見込みが薄い芝居の世界にしがみつこうとした私も大概ひどい。

 

女性の身体的な悩みは基本的に男性の無理解や私のような横暴によって引き起こされ、当人が責任を持って寄り添わない限りは破綻するか、女性が孤独に耐え戦い続けなければならない。

 

養育費は単に約束だから払っている。気休めにもなっていないだろう。妊娠が分かり、私が元妻の不安を和らげる存在にはもうなれないと分かった瞬間から、彼女の孤独に寄り添ってくれる人は現れてくれているのか……『藍反射』では不安を抱えた女性たちに、友人、家族、恋人、様々な形で寄り添ってくれる人々が描かれていた。離婚して3年目、未だに気にかけている。

 

 

 

 

離婚してから、麻雀にハマった。

 

大学時代は煙草や飲み会のコールと同列に、イメージ上の嫌な大学生が好む行為として忌避していた麻雀は、以前よりファンであった江頭2:50のYouTubeでの対決企画、プロ達が団体の垣根を越えてチームを組み、優勝を目指してハイレベルな闘牌を繰り広げるMリーグ、マナーこそ悪いものの、気心知れた友人たちとの煽り合いと人間の破滅を観れる粗品のYouTubeとの出会いを通して、遅ればせながらマイブームとも呼べるくらいの存在になっている。

 

観ているだけでは我慢ならなくなってきたのと、嫌な大学生よりは酷いことをしたという開き直りもあって、自分でも雀魂というアプリで麻雀を打つようになった。

 

一局単位で言えば、相手に放銃して自分の点数を減らさないように。トータルで言えば、大きく自分のレートが削られるラス目を引かないように。麻雀というスポーツは、大きく上がることよりも遥かに「リスクのある選択をとらない」ことが重要な意味を持つ。早々にそれに気づいておきながら、逆転できそう、アガれそうというところで欲をかき、幾度となくランクの昇降を繰り返し、ようやく中級者と呼べるところまで辿り着いた。3年目で中級者、我ながら運でここまで来たという感覚しかない。確かなことは、戦い続けたという事実だけ。

 

思えば3年前の私は「戦う1年にしたい」と言っていた。既に妊娠は分かっていたが、それでも芝居をしたい、芸能界に認められる人間であるかどうかを試したい、一緒にいい作品にしていきたい、そのために、同期の仲間と、演出してくれる講師と、あまりにも苦しい経済的状況と、冷ややかな視線と、そして何より、それらを言い訳に夢を諦めたくなってしまいそうな自分自身と。

 

あの時、私はこれら全てと戦って、負けた。経済的状況や視線にはシンプルに。仲間たちの優しさに。ただ一つ、未だに「役者を辞めた」とは言っていない。いっそ諦めた方が楽なはずだ、愛する人のために、自分だけが蓋をすればいいのだから。そう思ったあの日の自分にだけは、幸か不幸か負けなかった。ラス目は引いていない。

 

また、戦いたい。

 

私はどうしようもない男だ。