役者の学校の同期に強く誘われて、自己啓発セミナーの説明会を覗いてみた。
「覗いてみた」という表現が正しいくらい私がその場にいた時間は短く、私のように誘われたカモ予備軍の波に逆らって早々に会場を後にした。
大学で心理学を専攻しただけあって、私はこういう類のことへの損切りが非常に容易だ。そのセミナーでは過去を未来に対する障害のように扱っていたが、まさにその過去のおかげで私は今こうして苦痛を逃れた。
こういう行為をしても同期のその子と関係が切れるほどシャバい時間を共に過ごしていないのでできた芸当だ。過去。どうだ、これがセミナーで教えていない、いや、教えたくない過去のパワーだ。
さっさと帰ろう。もう用はない。我慢して聞いていれば飯くらいは食えたかもしれないが、いつでもできることを今、この勧誘者とカモ予備軍の関係性の状態でするべきではない。
強い足取りで駅へと向かい、さぁ到着後は改札をくぐるのみとなったところですれ違った美女に、私の目は丸くなった。
散々お世話になったエッチ女優さんだった。
す、すっげ〜〜〜!!!!!!!
タイトルにある通り、セミナーの会場が五反田だった。
前々からこの街を「めっちゃ風俗とかラブホとかある街」と認識していた私は、___まぁ、この際白状するが、____同期からセミナーに誘われ、その会場が五反田と分かったその瞬間に大人のお店を検索してみるくらいにはピンク色になっていた。
そういうのを振り払い、そしてまたついさっき仲間からの紹介で知ったヤバいセミナーの誘いをも振り払ったマタドールの如き私の足は、すれ違いざまのエッチ女優さんのために立ち止まり、あろうことか「いつもお世話になってます」と声をかけようかと後を追いかけんとする寸前まで来た。
こうしてマタドールから盛りのついた牛(闘ってすらいない)へと堕落してしまった私だが、踏みとどまることができたのはさすがにキショいのを自覚したからだろう。
セミナーをエスケープしたからこそ彼女とすれ違えたが、セミナーが言っていたことを受け入れていれば声をかけられる勇者となれていたかもしれない。
金、性、食、様々な欲が渦巻く街、五反田。
初めて行ったが、なかなかできない体験だった。