耳かきを買ってQOLが上がった気がする。
一人暮らしを始めて10年目となる今年、一大決心とも言える買い物だろう。
「別に綿棒で事足りとるわ」を、遂に「耳かきで耳を掃除して〜!!!!」が上回った。記録的な1日だった。
別にめっちゃ汚いわけじゃない。そんなに頻繁に綿棒を使う人間でもないが、それでも無性に耳がムズムズする日というのはやってくる。
上がった気がするQOLも、実の所そんなに飛躍的なものではない。こういう小さな幸せを拾っていきたい、ただそれだけのことだ。
痒いところに手が、否、耳かきが届く。なんと素晴らしいんだ。生活が豊かだ。
こうなってくるとイヤーエステに行ってみたい。前々から興味はあって、YouTubeにあるイカつい量のが取れている動画とかを見漁っていた時期があった。
元妻と行ってみたいね〜なんて話をしていたが行けずじまいだった。そりゃそうだ、イヤーエステデートなんか聞いたことがない。後回しにしているうちに関係が破綻してしまったが、だからといって耳の隅から隅までごっそりキレイにしてほしい、してみたい欲求がなくなったわけではない。
キレイにはしているのだが、私には一つだけ気になっていることがある。
あれは小学生の頃、放送委員だった私は同級生とじゃれていた。
当時クラスの間では糊を無意味に机や指に塗りたくり、消しカスの要領でゴムボールのようなものを生成するのが流行していた。例に漏れず私も糊ボールに興じており、毎日大事に積み重ねた糊ボールを2人きりの放送室で同級生に見せびらかしていた。
そしてまぁ、小学生の男子というのはアホなので、そういうものを穴に入れて面白がりたいのである。
そうして耳の穴へと誘われた糊ボールは、私の右耳にすっぽり入った後、
たしか、出てこなかったのである。
いや、出てきたのかもしれない。ただその糊ボールはあの瞬間以来見つかっていない。2人とも怖くなって親にも言わなかった。
右耳に異常がある訳でもない。どうなってしまったんだろう。私の糊ボールは。
あの日私の右耳に入ってしまった糊ボールが20年の時を経て、イヤーエステでその存在の有無を確認できたなら。
私のQOLは、一体どうなってしまうのだろうか。私の糊ボールは、YouTubeで紹介されてしまうのだろうか。
私はただ、放送室で見せびらかしたかっただけなのに。