私立アメコミ高校

本当はもっとアメコミのこと喋りたいけどね!

A LEGEND/伝説

映画スターといえばいくらでも思いつけるようになったが、「テレビで観れる映画スター」といえば、私にとってはジャッキー・チェン以外に思いつかない。

 

日曜洋画劇場木曜洋画劇場も無くなってしまい、金曜ロードショー土曜プレミアムはそういう映画を選ばなくなってしまった今、あの圧倒的なエンタメアクションがお茶の間に届けられる機会がほぼゼロに近いのは悔やんでも悔やみきれない。

 

私にとって映画を観る喜びというのは、つまるところジャッキー・チェンのアクションを観るということとほぼ同義であり、その流れの中でユーモア溢れるアクションを観せてくれるアメコミ映画を嗜好しているとも言える。

 

だから前作『RIDE ON』は私の映画人生が彼のキャリアに間に合ったようなものだった。あるいは50年も芸能生活を続けてくれた彼が私の映画人生を育てきった、と言うべきか。

 

一線を退いたスタントマンと老馬の奮闘を通して、自ら切り開いてきたアクション映画におけるスタントマンの地位向上とそれと矛盾してしまう譲れぬ信念の行く末を描いた『RIDE ON』は映画人ジャッキー・チェンの先人へのリスペクトに溢れており、そしてそれが彼自身に返ってきているという点では素晴らしい作品だった。『グラン・トリノ』みたいだった。

 

なので正直満足していたというか、まさかこの芸能生活50周年プロジェクトに第2弾があるとは思っていなくて、仕事を休んで観に行った次第である。

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『A LEGEND/伝説』という映画だ。

 

考古学者に扮したジャッキーが出土した遺物によって前世の記憶と繋がり、約2000年前にも及ぶ因縁に導かれていくという筋立てで描かれる『A LEGEND/伝説』は、現代と前漢における匈奴戦争の時代を行き来する形で進んでいく。

 

なんといってもそのとんでもないスケールに度肝を抜かれた。何千、何万という数の馬がスクリーン狭しとその躯を躍動させる。映画が馬から始まったその意味は『RIDE ON』で散々受け取れていたつもりだったが、今回はその物量が目を疑うレベルで凄かった。

 

現代パートではドラマと前漢の歴史を説明するのみかと思いきや、老いてなお健在の生身アクションも堪能できる。いったいどんなカラクリを使ったら芸能生活50周年のジジイが今をときめくアクション俳優とガチンコのシーンを撮っても見劣りしないんだろう?

 

双方の時代をそれぞれの表情で包み込む土地の雄大さも圧巻だった。前作では撮影所というスペースに押し込められて窮屈そうだった馬のなんと伸び伸び駆けることか。

 

こういうウソみたいに凄い風景やシーンを観ていても、「CGなんやろな」と特に驚けない悲しい体になってしまったが、やはり本物の迫力は違う。ここで言う「本物」はマジの自然物だったとしても、私の目をそれと認識させてしまうくらい精巧なフェイクだったとしても、ということだ。どちらにせよ狂気の沙汰だ。マジでリアルすぎた。前漢時代のジャッキーを若作りしなきゃいけないのはさすがにAIすぎたけど。まだまだ機械に感情は乗せられんみたいやね。役者の仕事はしばらく無くならんやろうや。安泰安泰。

 

双方の時代で描かれる恋愛模様コントラストが効いていて面白かった。戦乱の世と平和ボケの今における愛情表現で重ねることによって時代を超える愛の美しさを描けていたと思うし、やり口は一緒でも裏に流れているものの質が全く異なる、というのは観てれば分かる。

 

映画というのは出来の良し悪しとかではない。久しぶりに肩の力抜いて映画を観れた。

 

そう、まさに「実家」なのだ、私にとってのジャッキー・チェンは。