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キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド

2025年のMCUの先陣を『キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド』が飾った。

 

ここ最近のMCUの体たらくには辟易しながらも、こういうダメな時はダメと言い放つ距離感でい続けることを選んだ人生なので、公開初日に観に行く。

 

結論、予告編以上のものは観れなかったように思うが、わりかしまともな映画だった。というか大体のアメコミ映画はこういうのばっかりだ。

 

はっきり言って今のMCUが超えなければいけないハードルは、あまりにも高い。なんせ相手が全盛期の自分なので。

 

ユニバース構想をいち早く映画産業に持ち込み、現在に於いても尚唯一と言っていい成功パターンを見せていたあの頃のMCUを、それ自身が生み出した、良い言い方をすれば遺産、悪い言い方をすれば残りカスのメンバーと設定で超えなければならない。無理ゲーだ。

 

そういうフォローにはある種、「MCUの中に生まれ落ち(てしまっ)た作品」として扱うが故の不憫さ、情けのようなものが大いに含まれているが、今作はシリーズ過去作の多くがそうであったように、映画という1つの芸術としての出来も目を見張るものがなかったので、落胆はより深いものとなった印象がある。

 

MCUにおいて、批評的観点で高く評価された作品といえば『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』が間違いなく、いの一番に出てくるだろう。奇しくも今作の主人公、サム・ウィルソンの初登場となったその作品と、今作が同じポリティカル・スリラーテイストの作品だったことも、ハードルを上げてしまった要因となっただろう。

 

その後MCUの集大成を任されることになる『ウィンター・ソルジャー』監督、ルッソ兄弟の手腕を逆説的に証明することになるポリティカル・スリラーごっこ、という印象が今作からどうも拭えない。

 

……まぁ、『ウィンター・ソルジャー』の時とは世界情勢が不安定になりすぎているし、そのため「これやっちゃうのは流石にマズくね?」が増えすぎているから、なんっちゃってのクオリティでも何でも、なんとかポリティカル・スリラーとして成立させて公開までこぎつけることができただけで胸を撫で下ろすべきなのかもしれない。

 

いやーでもさ!「何者かが裏で仕組んでます」って予告で明かしてさ!それが何の捻りもなくそのままお出しされてさ、ひっくり返るような驚きってなくない!?!?

 

例えるならそう、『ONE PIECE』の最新話の感想でSNSが沸くけど、いざ読んでみたら「ふーん」ってなった伏線回収、みたいな。今の尾田っちならそれくらいやるくない?みたいな。おーそう来たか、みたいな。

 

こういうとこも含めて最近のMCUは不憫だ。サプライズがサプライズとして機能しなくなってきている。むしろユニバース構想という自身の持ち味が災いして、「今作を楽しむためにはアレとコレを観とかないと100%楽しめませんよ」みたいな文言が出てきてしまう。

 

自分がド級のサプライズでしか喜べなくなっているのも、MCUが安直にサプライズで喜ばせようとしているのもムカつく。映画でコミックをやろうとしているのは分かる。分かるんだが、じゃあコミックとしての面白さを担保せえよ。

 

やっぱり映画として楽しくないと意味が無い。とにかくアクションがイカすとか、キャラの魅力が画面いっぱいに迸っているとか、見惚れるようなショットがあるとか、グサッとくる台詞回しがあるとか、芝居をかじったのでここでこういう顔すんねやとか、そういうハッとするようなサムシングがないとこういう感想書くしかできなくなる。

 

いや、解釈次第で良い点はあった。強いけど超人兵士ではないのでアクションは意図的に人間のもったり感を出していたように思えるし、いわゆる我々の望む「キャプテン・アメリカのアクション」は翼と盾のコンビネーションという新鮮味で担保していたし、ドラマで詳細に描かれたサムのプレッシャーは、それでも立ち上がろうとする彼ならではの「絶対に諦めないイズム」として昇華されていたし、退役軍人カウンセラーの前歴を存分に発揮する「対話のヒーロー」は今こそ必要だと思えるし、やっぱり役者の芝居はめちゃ凄い(故ウィリアム・ハートの後任としてサディアス・ロスを演じたハリソン・フォードはめちゃくちゃ評価されるべき)。

 

ただやっぱり、何かが足りない。突出していない。パワーが、ガツンとくる「エンタメ性」が無い。何かを変えようともがく、シリーズとして「続けることへの狂気」が足りない。これに変革が起こるいつかのために、これからも新作を観に行く。

 

「変わりたいんだ」という意志は伝わった。それだけで愛せる。私とMCUの距離感は、つまるところこういう感じだ。