私立アメコミ高校

アメコミに関する様々な授業をしていきます

タメ口神話は死に、小姑は生き続ける

年寄りはどうして店員にタメ口をきくのだろう。飲食店でアルバイトを始めて以来、長年の疑問だ。

 

この疑問にある仮説を立てることで私は心の平穏を保っている。

 

「平穏を保っている」。この言葉でご年配の皆さんが肝に銘じてほしいのは、私は貴様らみたいな店員にタメ口をきくような人間に日々「なんで親しくもないお前みたいな小汚いジジババにタメ口きかれなアカンのや内臓引きずり出したろかい」とハラワタ煮えくり返っているのを毎回落ち着かせるターンがあるということであり、そのおかげで貴様らは明日の朝日を拝めているということだ。

 

話を戻そう。私が心を落ち着かせるために立てた仮説、それは「ジジイは店の人間にタメ口をきくのがカッコいいと思っている」「ババアは小姑のマインドで店員と相対している」というものだ。

 

年配女性のタメ口はごく稀にチャーミングで笑みが溢れるときもある。ご年配の女性の皆さんは、店員にタメ口で話しかける際は表情を豊かにすることを心がけて頂けると助かります。結局は言い方なのだ。高圧的に言えばうるさい小姑、笑顔で言えばお茶目なおかあちゃん。別にフェミニズムがどうとかではない。人がモヤっとした気持ちにならないように心がけるのは男女平等のはずだ。男がサボっていたから女性が割を食って、今それに抗おうとしているだけ。私もすごく頑張りたい。

 

問題はジジイだ。何をやってもムカつく。どう足掻いても無理だ。

 

この忌まわしき生物への接客において私の心を保つための仮説が、「ジジイは店員にタメ口をきくのがカッコいいと思っている」である。今のジジイが憧れてきた人間が店員にタメ口をきいていたから、それに追従しているだけだろう、どうせ。そこに己の意思などないのだ。だから時代がとっくの昔にそれを鬱陶しがっていることにも気づいていない。

 

先に言っておくが、「お客様は神様」みたいな思考のジジイのことはもう考えていない。流石に壺の中に入っている頃合いだろうから。あーでも梅沢富美男(偏見です)がまだか。じゃあまだいるのかな。まあいいや。

 

「店員に横柄な態度をとる」が嫌いな男性の特徴に挙げられるようになって久しいが、飲食店で働かなかったジジイはこれからもずっと店員にタメ口をきき続けるのだろう。そして飲食店で働かなかった人生偏差値が低くて繁殖力の高い男は店員にタメ口をきくジジイになる。多分Breaking Downとかを観ている層だ。偏見だ。何が悪い。喧嘩が強い自慢なんかエンタメにするな。こういうことを言ってくる私みたいな人間を謝らせるくらいの善行をしている自信のある奴がいたら話くらいは聞いてやってもいい。「でもアナタ人殴った上にそれ自慢してんすもんね〜??」って言う。

 

話が逸れた。タメ口で注文したりするのがカッコいいとされてきた時代は確かにあったのだろうし、その時代を彩ったスタージジイ(舘ひろしなど)が放つタメ口は未だに輝きを放っているのだろうが、そのガワだけを模倣しているに過ぎないタメ口はジジイに差し掛かってメッキが剥がれるのである。

 

これ残念ながら、じゃあ敬語で言ったらムカつかないかと言われると違うのだ。敬語で表情豊かに言うと、今度は気持ち悪いのである。それはそう、ムツゴロウさんがどんな柔和な表情で何を言っても犬との気色の悪いキスをする彼を思い出して心がクッ、となるのに似ている。あんなにいい人なのに。ちょっとテレビでベロンベロンしただけでこの悲しきザマである。ワンミスで社会的イメージを損なうようになったのは彼が初ではないのだろうか(多分違う)。

 

結論、ジジイにできることは何もない。これは私がジジイを諦めているからだ。もし読者の中に店員にタメ口をきくジジイを自認する者がいるのなら、非常に不愉快な思いをされたことだろう。

 

たまにはそっちがムカつけ!

 

そしてジジイ予備軍の若者の皆さん、まだ間に合います。お願いします。店員にタメ口をきくのはやめてください。あとイヤホンつけたままレジに並ぶのはやめてください。聞き返されるのダルいんで。「◇✩#.『』ペイで」じゃなくて前半ハッキリ言ってください。クイックとかペイとかメルとか沢山あるんで。「アイディー」か「エディー」かハッキリ言ってください。もう一回言わされるとスマートさが激減しちゃいますよ?

 

あと本当に、本当に店員にタメ口をきくのはやめてください。貴方たちの姿を見て育つ未来のお子さん達が可哀想なんで。

 

そして私よ。なんでこんな感じで接客業やってんだ。