【テスト㉖-B】シャン・チー テン・リングスの伝説 大復習!!
こんにちは!というかこんばんは!冷やしラーメンを買うタイミングには十分気をつけてください。どうもワキリントです。
「ここ数年、季節感バグっとるし、しばらくは暑いやろ」くらいのテンションで2袋買ったのが8月の終わり頃。しかし予想は大幅に外れ、9月が9月なりの涼しさを見せています。
どうせ熱湯で茹でるんで、冷やす工程を踏まずに温かいまま食べることもできるんですが、なんか違う感が否めない。正解とされている食べ方じゃないとそいつの100%を引き出している気がしないんですよねぇ。
そんなわけで涼しさを取り戻した9月にあって静かにアツく燃えている『シャン・チー テン・リングスの伝説』を復習していきましょう。
アチョーッ!
★あらすじ★
舞台は『アベンジャーズ:エンドゲーム』(2019年)での戦いが終わり、仮初の平穏を取り戻したサンフランシスコ。
主人公のショーンさんはしがないホテルマンとして、学生時代からの大親友、ケイティさんと人生をぼんやりと生きておりました。
ある日二人で仕事へ向かう最中、謎の男達に絡まれるショーンさん。友人に因縁吹っかけられる言われは無い、そもそも喧嘩ができるタマじゃないと喧嘩を止めようと割って入るケイティさんでしたが意外や意外、あれよあれよという間に男達をのしていくショーンさん!
何のことやら分からぬままその場を立ち去り、マカオへと向かうショーンさんについて行き事情を問いただすケイティさん。そこで彼の本名がシャン・チーということ、そしてその知られざる過去を知ることになるのです…
なんか主人公がケイティさんみたいになっちゃった。でもニコイチ的な仲良しだったし、いっか!!
★キャラクター★
続いてキャラクターいきましょう。ショーンことシャン・チーさんは「気のいい兄ちゃん」の枠を超えず、圧倒的にフツーな人間として親しみのある方でした!
その上で卓越したカンフーを見せられて嫌いになる人はまずいないでしょう!嫌いになるんだったらよっぽど中国系の人に根拠なき怨恨があるんだと思う。知らんけど。
子供時代のシャンチーさんもナイフみたいでよかった〜
ケイティさんは陽気でこれまた「気のいい姉ちゃん」って感じですが、才能を持て余し、大きな夢もなく生きている様子です。
大いなる運命の渦に飲み込まれるシャン・チーさんについて行くなんて普通じゃできません。義理堅さ、お節介、言い方は色々できると思いますが、これまた嫌いになる人はいないでしょう!
シャン・チーさんがマカオに会いに行ったのは妹のシャーリンさん。
幼い頃の約束を果たさず家出した兄を恨み、夜な夜なビルの高層階で地下格闘技を行う(ここスゴい矛盾だけど本当です)ようになってしまった心の傷、悲しいねぇ。
二人の母であるジャン・リーさんは「幽玄」を体現(韻踏んだ)したような、神秘性のある人でした。故人ではありますが、生前のあらゆることがシャン・チーさんの行動の源になっていて、愛を感じます。
父であり、千年以上前から裏の世界を支配していた組織、テン・リングスの首領でもあるウェンウーさんは、生来の猛々しさ、ジャン・リーさんとの出逢いの中で生まれた優しさ、彼女を失った憂い、怒り…といったように、作中で最も感情の起伏が激しい役回りです。
そこを名優トニー・レオンさんが魅力的に仕上げてくれました!目とほうれい線だけで感情が分かるのは凄いよ。
母の故郷であるター・ローを守護する伯母のイン・ナンさんは、演じるミシェル・ヨーさんに忖度したんかっていうくらい、後暗いところのない潔白な師匠でした!MCUにしてはめちゃくちゃ珍しい!
ター・ローは麒麟のような架空のものとされてきたファンタジーな生物が暮らす突飛な村ですが、それに説得力を持たせる年輪のようなものがありました。
あっミスった
このように魅力や人生を丁寧に捉えるカメラのおかげで、一人一人に親しみがこもる作りになっています!しかし、いいことばかりではないようで…それは次の章でお話しましょうね。
★見どころ★
今作の印象を端的に表すと、「観せたいもん詰め込みすぎて腹パンパン」です!
たとえばアクション一つ取ってみても、お家芸とも言えるカンフーアクションはまるで舞踊、太極拳のエッセンスも多分に盛り込み、見栄えの面ではMCU最高峰!
こことかすっごいよかった!
ウェンウーさんの武器、テン・リングスも単なる腕輪のように見えて汎用性が激烈に高い魅力的な武器。アクションのステージをまた一つ上に押し上げてくれていました!
コミックスでは指輪のところを腕輪にアレンジしたのも頷ける活躍ぶり!
しかし!だからこそ!そこで最後まで勝負してほしかった!突っ切ってほしかったー!
チャウ・シンチー監督の『カンフーハッスル』に影響を受けているのは明白ですが、あまりにも知ってるカンフーではないクライマックスに、イマイチ万歳できない自分がいました…!
思えば『カンフーハッスル』以降、カンフー映画そのものを観なくなったような記憶があります。カンフーだカンフーじゃない論争がぼくの中で沸き起こったんでしょう。変なこだわりがあるんでしょうね。これはぼくのせいかも。
こういうのがぼくの大好物です。
そして先程のキャラクターの丁寧な描写は、裏を返せば本筋じゃないところまで掘りすぎている印象が否めず、その上ヒーローの誕生であるオリジンものの宿命ともいえる回想シーンが間に幾度となく挟まれることによってドラマは常に分断され、モッタリモッタリ進んでいました。
かと思えばぼくが期待していたアメリカで暮らすアジア人の辛さはチョロっとした言及にとどまり、早々にマカオやぶっ飛んだ村のアジアンonlyな世界観へとトンズラこきます。ここまで盛り込んでこられたらお腹破裂してたと思うんで安心ですが、観せてほしかったなぁ。
このように沢山の要素がブチ込まれている割には全ての面でこちらの顔色を伺っているような自信のなさというか、こんなもんでええかなぁ、感が滲み出ていたように思います。
……あれ、見どころの章なはずなのに、しかもすごい楽しんだのに割と批判してない?おかしいなぁオイ。好きなんだよ。勘弁してくれよ。
衣装がカッコいいのにカッコよく登場しないのもなんかふまーん。バーンってでてほしかった〜。
★陰と陽、賛と否、親と子★
さて、以上で『シャン・チー テン・リングスの伝説』復習は終わりです!
先述したように振り切れてない感が見え隠れしている今作ですが、それもそのはず。観せたいものがそこじゃないからです。
監督が『ショート・ターム』で注目を浴びたデスティン・ダニエル・クレットンさんであるということが今作を楽しむヒント。「家族という絆の複雑さ」がテーマだったんですね。
何もかもの元凶が親だとしても、明らかに自分が正義の側であると分かっていても、拳が鈍ってしまうのが家族というもの。
どんな人間に変わってしまったとしても、自分を愛していたことを思い出し、戻ってきてほしいと願うのが子供というもの。
そこのチューニングが合うまでにぼくは時間がかかってしまいましたが、ギリギリ滑り込みセーフでした!っぶねぇ〜。
まるで太陰太極図のように、良いところも悪いところも血として流れているのが家族です。受け入れて前に進もうとすることが必要なのだという気づき、そこにシャン・チーさんが先生へと成長していく兆しが見えました。だから結論、オリジンとしては申し分のない仕上がりです!
今回は思いがけず様々な部分を批判するような事態になってしまいましたが、好きなところと共に愛していきたくなる、そしてこれからのMCUを再びしっかり見届けたくなる、そんな作品でございました!正直『エンドゲーム』以降の熱ってどこにぶつけたらいいんやろ感半端なかったもんな。
ということで、熱い想いを語る余り夜までかかった授業はこれまで!それでは!!
実験は大成功だぜ、CEOのクソッタレ。終劇!!