こんにちは!雨が降ったらショーシャンクの空にごっこをすればいいじゃない。どうもワキリントです。
あくまで「帰宅中」「一軍じゃない服装で」「温かいご飯の用意ができている」という条件付きで、ですけどね。それがないときのごっこ終わりは悲惨そのものですよ。おすすめしません。おパンティ含めビッシャビシャですから。悲しみの涙を流すこと請け合いです。
思えば地元での学生時代、ちょうどゲリラ豪雨という概念が世間の認知度を高めていた頃、おパンティ含めビッシャビシャになった状態で帰ってきた私を、オカンは「はよ風呂入ってき〜」と玄関までバスタオルを持ってきてくれました。家族やねぇ。
というわけで今回は『ブラック・ウィドウ』の復習回!一年近く公開が遅れ、ハードルも相応に高くなっていた今作ですが、さぁどんな感じだったんでしょうか!ちょっくら見てってよ!あ、ビッシャビシャになっとんなら、はよ風呂入ってき〜(バスタオルを渡しながら)。
★あらすじとキャラクター★
『シビル・ウォー:キャプテン・アメリカ』(2017年)の直後が舞台の今作。この頃のMCUはというと、ヒーローの活動は国連によって規制され、それに反するものは追われる身、最悪の場合投獄されるといったものでした。
そんな中、軽々と世界の監視の目を掻い潜り逃亡を続ける女性がひとり。今作の主人公にしてMCUのグレートマザー、ブラック・ウィドウ先生ことナターシャ・ロマノフさんその人です。
独自のルートであらゆる道具を調達してくるメイソンさんの協力を貰いながらひっそりと暮らしていたのも束の間、謎の刺客、タスクマスター君の襲撃を受けるナターシャさん!
CIAやFBIが捕まえに来れるわけない、アベンジャーズが迎えに来たわけでもない、では何が自分の身に振りかかろうとしているのか…わずかな手がかりを頼りに、ブダペスト(ようやくや!アチィ〜!)へと赴くと、そこにはかつて、レッドルームというソ連の悪〜い暗殺者組織にナターシャさんが所属していた頃、とある潜入任務で姉妹としてあてがわれたエレーナさんが待ち構えていました。
ナターシャさんだけが持っていると思われていた「ブラック・ウィドウ」の肩書きですが、これはレッドルームでの過酷な訓練をクリアし、暗殺者として世界のあらゆる大事件を裏で起こしていたエージェント達の総称でした。エレーナさんもその一人。
姉妹感動の再会というわけにもいかず、タスクマスター君や大勢のウィドウ達から逃走する二人。どうやらエレーナさんが握る、レッドルーム転覆にも繋がる「鍵」の奪取が追手の目的のようです。
話を聞いていくうちに、組織を抜け、S.H.I.E.L.D.に加入するために消したはずのレッドルームのトップ、ドレイコフ将軍が生きており、雲隠れしていると知ったナターシャさん。なんでや!!
MCU史上でも指折りの胸糞おじさん。こういうのがまだ世界にはごまんといる。
過去に決着をつけるため、レッドルームへのカチコミを計画するナターシャさんでしたが、そこは上層部の人間以外は場所すら知らない秘密の要塞。
より機密の情報にアクセスできる人間を求めた二人は、潜入任務で父親だったアレクセイさんと、科学者の顔を持つ母親役のメリーナさんに会いに行きます。
パッツパツの栄光に縋るオッサン。
組織を抜けヒーローになった者、レッドルームの呪縛に囚われ続けていた者、利用され投獄されていた者……任務で寄り集められていたに過ぎない偽りの家族の再会は、果たして組織を打ち倒す鍵となるのでしょうか!
だいぶ引いてる周りの人達。
スパイものというと展開が二転三転して、「え、今なんでこれやりよんやったっけ?目的ナニ?」ってなるときも多くないイメージ(ぼくが悪いだけかもしれん)ですが、実に単純明快、一つの目的に向かって順序だてて近づいていく観やすいものになっています!
★約束は守る男★
さて、続いては見どころ、という名目で感想を垂れ流す章ですが…先週の予習でぼくはこう言いました。
「アカンかったときはアカンって言うから!」と。
トータルの結論としてぼくはすごい好きですが、アカンところはしっかりアカンなと思ったので、少しお話したいと思います。まぁ聞いてってよ。
まずは全体的に、ドラマみたいなのっぺりした画面だったなぁという印象があります。序盤のタスクマスター君が襲撃するシーンはパキッとしてて良かったんですが、その他がやけに牧歌的と言いますか…ピリピリしてないんですよね。要ると思いません?「一刻を争う感」って。スパイものって。
『キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー』(2014年)という、少々分の悪い比較対象があるだけに差別化を図ったような気もございますが、ビビらず突っ込んでほしかったな。
一番ムムムだったのは散りばめられた伏線がバレバレなストーリーテリング。まともな人が一目見れば「あー、これラストで似たような台詞言うんやろな」って察して、でそれがマジで起こっちゃう。期待を越えてこいよ。天下のMCUだろうがよォ!
これが後々出てきますよ〜、覚えといてね〜って面して無意味な会話や回想が繰り広げられるんすよ。バレんようにせんと。伏線やから。伏せんと。目先の安いエモに簡単に手を出しているような気がしてちょっと不安になっちゃいましたね。
しかし脚本で言うと、期待してなかったというか、公開前に推しだしてなかった要素の描写が実に素晴らしかったです!
ぼくもまだまだ勉強中、価値観のアップデートに励んでいる問題を取り扱い、割と近い解像度で描いてくれていたので、「そういう話題」を描いたものの中で、現時点でのぼくが一番しっくりくる作品になっていました。
それで気づいたんですけど、映画って作り手の「一番観せたいもの」というか、「どういう層に刺したいか」を読み誤るだけで評価が180度変わると思いませんか?
例えばFNS歌謡祭とかでサザンオールスターズメドレー!って大々的に宣伝して期待して観るけど、蓋開けたら本家が歌うのは最後の新曲だけで、往年のヒット作は流行りのジャニーズとかティーン世代の歌姫…とかだったら、「いやそんなん観たいんちゃうねん」ってなりません?でも企画の意図として「サザンに触れることの少ない若い世代に良さを知ってほしい!」が根底に流れていることを知ってたら、多少は有意義な時間と思えるんではないでしょうか。
本作ではナターシャさんの過去の掘り下げにめちゃくちゃ期待がかかっていましたが、そこから離れられずに終わっちゃった人からしたら、実に退屈で不満の残る作品になってしまうかもしれません。
というか、そこをガッツリやるんだとしたら、それこそドラマでやるべきでしょう。2時間ちょっとの限られた尺では足りないことは目に見えてましたからね。
何週も経てのこれならば、また評価も変わってたかも。実に惜しい。
変な話ですけど、大作や話題作になればなるほど、過度な期待をしない、フラットでニュートラルな状態で観ないと評価にエゴが出過ぎます。そういう点でぼくは上手く脚本のやりたいことに乗っていけたかな、とホッとしてます。ちゃんとしっかり泣きましたし。っぶねぇ〜。褒めるつもりやったのに結局ディスってませんでした?なんとか褒めに戻せて良かった。
画面だのストーリーテリングだのが作り手にとって二の次三の次だったことは控えめに言ってもプライドないんかボケ案件ですが、私たちはここをやりたかったんじゃ!という強引なまでの熱量が感じ取れたんでグッジョブと言わざるを得ないです。バカが作った熱量100%の映画なんてワタシ始めて観たかも。いいっすね、こういう映画との出会いも。
アクションで言うとめちゃくちゃスパイしてました。ブダペストでの一連のシーンなんか、身近なものが全て凶器になる暗殺者ならではだったし、一転してカーチェイスになると姉妹のかけあいを織り交ぜながらの大掛かりな観応えがありました。
予告編の空中落下しながら戦うシーンも観賞体験としての新しさという観点では有意義でしたが、スパイらしさと、なによりブラック・ウィドウ先生らしさが出たのはブダペストだったのかな、と思います。
★影にいたからこそ光になれる★
以上で『ブラック・ウィドウ』の復習はおしまいです!
いやぁ〜、語りすぎなくらい語ってしまいました。途中FNS歌謡祭の話してたな?逸れに逸れましたね。めんごめんご。
ドラマでやるべきなんてことも言いましたが、やはり大画面で観るMCUは定期的に摂取しておかないと生きていけません。ぼく個人は概ね満足しましたし。
ぼくのものも含め、世間の評価なんて当てにならないものなんですよ、結局のところ。皆さんの目で確かめて、自分でどの道を行くのかを決めることが大切です。
ナターシャさんは組織を抜け、エージェントを経てアベンジャーズとして光の下で生きました。その人生が影で暗躍するレッドルームによって見繕われた偽りの家族にも変化を与えることができました。ナターシャさんの「ヒーローとして生きる」という選択の賜物です。
任務のため、と割り切ったドライな印象から始まったナターシャさんの約10年をかけた変化が、ここまでヒロイックにスクリーンで観れたことは素直に祝福せざるをえません。マジでありがとう。言いたいことは山ほどあったけど。
ディズニーのせいでTOHOシネマズ系では上映してませんし、そうじゃなくても外出がはばかられる時代ですが……ぜひとも体調には万全の注意を払って、映画館へブラック・ウィドウ先生に会いに行ってほしい!
どうせディズニープラスでお金払ってもサーバー落ちるから!!ディズニープラスに関してはボコボコにディスります!『ブラック・ウィドウ』はトータルで褒めます!ぼくのスタンスは以上!おめぇらの気持ちもぶつけてくれよな!それでは!!
世界初、優しいスパイ映画。