こんにちは!先日人生初のパンケーキを食しました。どうもワキリントです。
長年世の女性たちの心を掴んで離さないパンケーキ、さぞ美味いのだろうと思いつつも、日頃の身だしなみ、言動、趣味嗜好などの観点から「自分のような男が行ってしまうと店の品格が損なわれるのではないか?」という不安からどうしても足を運ぶには至らなかったのです。高いお金払うんだったらメガ盛り牛丼食った方が遥かにコスパ良いですからねぇ。
がしかし!ありとあらゆる不安要素を取り除き!「食べ方が分からないからついて来てくれ」と女性をお誘いし!遂に対面したパンケーキの美味さたるや!
そりゃ心を掴んで離さんわ!!という感じでした。感動もひとしお。
というわけで今回はパンケーキと同じくらい女性(と男性と色んな人)の心を鷲掴みにしている『BIRDS OF PREY ハーレイクインの華麗なる覚醒』を復習していきたいと思います!
男性の評価は割と分かれているようですが、さてぼくはどうだったのか。まぁ読んでくださいよ。
★ハーレイクインってどんなキャラクター?★
まずは今作の主人公、ハーレイ・クイン君の基本情報をおさらいしましょう。本来なら歴史の教師をお呼びしていくところなのですが、せっかく登場するならご自身のワンダーな作品が近くなってきた頃にしたかったので、今回はぼくが紹介しますね。
彼女の本名はハーリーン・クインゼル。元はゴッサム・シティにある精神病棟とは名ばかりの収容所、アーカム・アサイラムに勤務する精神科医でした。
日々患者のカウンセリングに励んでいた彼女でしたが、ある日運命の出会いを果たします。それがあの(どの?)ジョーカー君。これが彼女の人生を大きく狂わせてしまいます。
最初はカウンセリングを粛々と進めていた彼女でしたが、いつしか彼のカリスマ性に魅了されてしまい恋の虜に。脱獄にまで手を貸してしまった彼女は、化学工場で「おれのために死ねるか?」といういかにも支配欲の塊みたいなセリフを真に受けヤベー薬品の中にドボン!
こうしてジョーカー君の愛のために生き、ジョーカー君の愛のために戦うラブウォリアー、ハーレイ・クインとして新たな人生を歩むことになったのです。
こうした経緯は映画の序盤で説明されるので必要なかったかもしれませんが、今作ではジョーカー君と出会う前の生い立ちまで明かされます。だからと言ってなんだということもないのですが。
ちなみにハーレイ・クインという風に「・」が付くのが正式名称なのですが、その辺はまぁテキトーでいいです。正解が分かってりゃ言い方なんてどちらでもいいんすよ。大らかに生きましょう。
★あらすじ★
というわけで今作のあらすじです。
予習回でも言った通り、今作ではまさかの破局をしてしまうハーレイクイン君とジョーカー君。前回数々の予想を行いましたが結局真相は明かされませんでした。なんなら一番の関心を持っていたのに。
「どうして教えてくれないの〜!?!?」という観客の思いを代弁してくれています。
髪を切る、浴びるように酒を飲む、ローラースケートレースで相手選手の鼻を折る、ハイエナをペットにするなど、女性が考えうるありとあらゆるハートブレイクを悲しむ彼女でしたが、遂に吹っ切る決心をして思いついたのは思い出の化学工場を爆破すること!いかにも女子が思いつきそうな吹っ切り方ですね。
壁に絵を描いてナイフでメッタ刺しにしたりもします。
破局の噂がゴッサム・シティ中に広まって動くのは警察だけではございません。彼女による過去の奔放な振る舞いで散々な目に遭いながらも、ジョーカー君への恐怖で報復に来れなかった悪人たちがこのまたとない機会を狙ってハーレイ君に襲いかかります!!
それだけでも彼女にとってはサイテーな1日の始まりですが、捕まってしまったのがブラックマスク君ことシオニス君だったからたまりません。
全国のユアン・マクレガーファンの皆様ご安心ください。マスクはほぼ被りません。
彼は無数の男たちを束ねて軍隊を作り、ゴッサム・シティを支配しようと目論んでいる残忍なレイシスト。理由なき女性蔑視をする彼に命を奪われるよりはマシだと盗まれたダイヤを取り返す任務につくことになった彼女が大胆不敵にも向かった先は警察署!!
ダイヤを盗んでしまったアンラッキーなスリ少女、カサンドラちゃんを確保したハーレイ君ですが、複雑な状況が発生してしまい引き渡すにはいかない状況に。
どんなことが起こってしまったのでしょう?ちょっと予想してみましょう。
・もう売ってしまってどこに行ったか分からない。
・車の外から投げ捨ててしまった。
・バットマン先生が取り返してしまった。
・特殊なダイヤでカサンドラの体と一体化してしまった。
・アイアンマン先生の絵を描いてしまって著作権上映せない。
・お母さんに「預かっておくからね〜」と言われてしまった。
・ダイヤじゃなくてタイヤだった。
この辺にしておきましょう。もう二度としたくありません。
さっさと引き渡して終わらせるはずが、予期せずして少女と交流することになってしまったハーレイ君。せっかくジョーカー君がいなくても一人で生きていけることを証明したかったのに、ブラックマスク君の下請けとして動かなければいけなくなって…このままでいいの!?
否!!世界で一人だけのかけがえのないハーレイ・クインの人生を誰にも邪魔させたりなんかしない!!
華やかな生活のために、自分自身の尊厳のために!ハーレイ、覚醒!!
はい、カッコいい〜。
★囚われた女性たち★
今作ではハーレイ君と同様に、思うような人生から脱却しようともがく女性キャラクターが登場します。予習回ではちょっとした紹介に留まっていましたが、せっかくなので一人一人しっかりめに魅力を伝えていきたいと思います。
まずは事件の発端となるスリの少女、カサンドラちゃん。
愛情のない里親の元で暮らしているせいもあって大人への反発が止められない彼女。スリをしちゃう分別のなさも相まってあろうことかハーレイ君に「大人の女性になるためのコツ」なんか聞いちゃいます。聞く相手間違ってるって。壇蜜とかにしないとそういう相談は。
続いては悪人を追うゴッサム市警の女刑事、レニー・モントーヤさん。
大きなヤマを解決したのに手柄を同僚の刑事に横取りされて以来、万年ヒラの刑事という立場に甘んじているという割とリアルに不憫な方です。なんか知らんけどこういう不遇な女刑事に限って推理の能力だけはピカイチなんですよね。
戦う相手は屈強で血気盛んな若い男ですから、二人は戦闘になるとなかなか力を発揮できません。そんな二人と対照的なファイターもいます。
まずはシオニス君の経営するクラブでシンガーとしても働くブラックキャナリーさん。
「ここは男の世界〜♩」とかいう差別丸出しの歌を歌い今作の男性の描かれ方を端的に示してくれるガイド役です。
何の説明もなく格闘スキルは一級品で、襲いかかる男たちをあれよあれよという間に宙に投げ飛ばします。これじゃあどっちがカナリアか分かりゃあしないぜ。
最後はダイヤに関する過去に何やら関係があるハントレスさん。
クロスボウを巧みに使いこなし容赦無く相手を葬り去る彼女ですが、下手したら今作で一番キュートでチャーミングなネタキャラです。
彼女の目的は単なる復讐。人生を懸けた仇討ちの最中にハーレイ君とシオニス君のイザコザに巻き込まれても文句ひとつ言わない優しいハントレスさんを駆り立てるほどの相手とは!
かくして集まってしまった最凶最悪のガールズ・チーム!血湧き肉躍る真夜中の女子会が始まりでっせ!!
★「そういうのもう観たよ」のオンパレード★
さて、この辺で今回の授業はおしまいにしましょうかね。
今作の見所は何と言ってもハーレイ君をはじめとした女性たちがスクリーンを所狭しと駆け回るアクションに尽きますね!
いくら戦闘スキルが高いとはいえ、純粋な腕力では鍛えたチンピラ軍団に勝てないハーレイ軍団の面々。そんなディスアドバンテージを打開するために彼女たちが取る作戦が「徹底的に急所を攻める」攻撃。
膝や喉、キャンタマなどをお構い無しにバットやハンマーでフルスイングしていく様は爽快感と共に同情すら覚えるエゲツなさ!!「Oh…」って言っちゃう。痛そうすぎて。
そのような視覚的には派手さのない地味に痛いダメージを、ハーレイ君仕込みのカラフルな環境で行うことによって「映え」なアクションに仕上がっております。
しかしそれがいいことなのかは別の話。水飛沫を撒き散らしながらの戦いは『アクアマン』、最終決戦の場は『シャザム!』…全体的なハーレイ君の立ち位置は『デッドプール』…といったように、あらゆる要素の引用があまりにも近い。アメコミ映画のオマージュをアメコミ映画でやるなよぉ。芸がないと思われるだろぉ。『デッドプール』以外は越えられてたと思うけどね。
スローモーションを多用して飛沫がいい感じに撮れていたように思います。
ですので「いや、そういう画はもう観たんやけど…」と悲しいかなイマイチ乗り切れなかったのが本音です。これほどまでに「男性からの解放」「女性としての自立」をテーマにキャラクターたちが頑張っているのに、その精神的成長の一番の見せ場でどうしても男性主人公の映画がチラついてしまうのが実に勿体ない。
女性として何ができるか、男性からいかに離れるかを意識しすぎるあまり、かえって男性の影が色濃く投影されているような印象を個人的には受けましたが、世間的には最高らしいですね。何回でも言うつもりですがぼくは「主役が女性だからつまんねぇ」という評価は絶対にしません。今作は「意識しすぎて作る側が男性を振り払えていない」から残念というだけです。
アクションの他に評価できるのはハーレイ君の描き方。
『スーサイド・スクワッド』の時は陽気な性格を履き違えられてビッチのようなキャラにされちゃってた彼女でしたが、今作では純粋なハッピーガールとしてウキウキ陽気に描かれていました。世間の評価も「かわいい!」「かっこいい!」はあっても「エロい!」はないようですから、性的消費がされていないという点で今作の功績はなかなかにデカいものがあると思います。ノルマのように挟まれるセクシーなシーンで辟易することがなかった!世界平和への第一歩です。
いいとこも悪いとこもひっくるめて、ハーレイ君のように「なんだか憎めない」ラブリーチャーミーな映画となった『BIRDS OF PREY』。コロナウィルスで大変な中での状況ですがぜひ劇場に…
いや、正直な話そこまでして観にいくもんでもないです。健康第一。
デジタル配信も既にやってるっぽいですよ?