私立アメコミ高校

アメコミに関する様々な授業をしていきます

【アメコミ高等教育⑦】アベンジャーズにはなぜX-MENが出ないのか?

こんにちは!今年はパソコンに触れる時間を増やしていきたいワキリントです。

 

以前は毎週のように行っていた本校での授業ですが、今となってはもはや休むのが当たり前。これではいかんと今更ながらに己の甘さを戒めていこうという今日この頃です。

 

毎週、とまではいかなくても、頻繁に休むようなことだけはしないように、今年からはアメコミ関係なくね?と避けてきていたテーマなんかも扱って積極的に時間稼ぎ回を盛り込んでいこうかと思います。

 

ということで今回はハッキリ言ってそんな時間稼ぎのための授業となっております。しかし侮ってはいけません。遂に遂に本校、「あのテーマ」を正面切って扱いたいと思います。時間稼ぎにも一定量の情熱を注ぐという宣言でもあるよなぁ。

 

それではさっそく参りましょう!

 

★夢を壊すのはいつも大人★

さて、本日のタイトルにもありますように、世の中には「なぜアベンジャーズの映画にはX-MENが登場しないの?」と疑問に思ってらっしゃる方が多いのではないでしょうか?え?いない?いろよ。いるというテイで話させろよ。

 

もしくは「X-MENでも『MARVEL』ってロゴが出てくるよね?じゃあコイツらもアベンジャーズの仲間ってこと?」という方もいらっしゃるかもしれません。え?そんなに察しのいい観客はいない?それはそうかもしれん(コラッ!)

 

アベンジャーズに代表されるMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)が始まって今年で12年。対するX-MENシリーズはそれよりも長い歴史を持つはずなのにアベンジャーズみたいなやつ」的な扱われ方をされている現状、ここ数年のMCUはやはりバケモノじみていることを実感させられます。

 

かく言うぼくもX-MENシリーズは一通りMCUを観終わった後に手を出した一人。言うなればそうですね、寿司屋で白身魚よりも前にウニとかイクラの軍艦を食べちゃったのと同じです。ツウじゃない楽しみ方をしてしまいました。でもいいじゃない。今じゃあ白身魚の良さも分かるよ。タイの食感とかたまんないよね!エンガワとか最高じゃん!(一番好きな寿司ネタはホタテです)

 

話が逸れました。

 

「なぜX-MENアベンジャーズに出ないのか」という疑問に端的かつテキトーに答えるとズバリ「大人の事情」ということになります。

 

結局そんなもんなんですよ。いつだって矛盾を作り出すのは大人たちなんだ。「よそはよそ、うちはうち」などと言いながら「○○君も勉強してるんだからアンタもやんなさい!」と叱ってくる親もそう、GDP下がってんのに「景気回復してる」とかいう「お前文字読めとんのか・オブ・ザ・イヤー」を獲得しそうな発言をする政治家もそう、回転寿司チェーンにハンバーガーとかが増えてきたのもそう!みんなみんな大人の事情なんですよ!なんなんだ寿司屋にハンバーガーって!寿司食えよ!もしくはマックかモスに行けよ!(好きなハンバーガーチェーンはモスです)

 

話が逸れました(2回目)。

 

★大人には歴史がある★

前章で分かったように、二つの有名なアメコミシリーズが相見えないのは「大人の事情」という一見してしょうもない理由がありました。

 

しかし掘り下げていくとそこには、MARVELの涙ぐましい努力の歴史が残されていたのです。この章ではそちらを取り扱っていきます。

 

その昔コミックスの出版社として産声をあげたMARVELコミックスは、当時時代を席巻していたコミックス収集ブームの波に乗り、内容は同じでも表紙が異なる版を出すなどして大成功を納めていたそうです。同じエビでも甘海老と車海老で別枠にするみたいな。そういう感じです。たまに握りと軍艦で別物みたいなツラしてメニューに名を連ねてるやついますよね。海苔の有無で差別化できた気になんなよ!

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今でもイベント的に表紙違いを出版する文化はあるみたいです。

 

しかしブームが去ると経営は厳しい局面に立たされます。事業を拡大しすぎた反動からか会社は借金まみれに。社員のリストラや資産の売却など手は尽くしましたが時すでに遅し。とうとう首の回らなくなったMARVELコミックスは1996年、合衆国政府に破産の申し立てを行ったのです。皿五枚でガシャポン一回みたいな変なことやるからどうしようもないですね。

 

その後なんやかんやありまして、現在では押しも押されぬ大企業となってはいますが、この低迷期にこそ本日のテーマを解明するための重要な出来事が起こっていたのです。

 

それが先ほど挙げた「資産の売却」。出版社の持つ「資産」といえば真っ先にコミックスそのものが頭に浮かびますが、MARVELはこの時、ありとあらゆる映画の制作会社に「キャラクターの実写映像化をする権利」を売っていたのです!

 

そしてこのときX-MENの権利を買い取ったのが、「聴いただけでワクワクドキドキ、「映画観てる」感が5割増しになるファンファーレ」でおなじみの20世紀フォックスだったのです。両手を広げて客を呼び込む社長の像がスシローに置かれてるみたいな。

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ドゥッドゥッ、ドゥッドゥッ、ドゥルルルルルルルドゥッドゥッ、パッパパー!

 

権利を買い取った20世紀フォックスはその後2000年、X-MENを世に送り出し大ヒットを獲得。シリーズ化に繋げるのですが、このシリーズで主導権を握っているのは当然20世紀フォックス。同時期に公開されているブレイド』(98年)などとは異なり、得た利益というのもMARVEL側には入ってこなかったといいます。なんという仕打ちでしょう。これはアレです。テーブルについてるお湯の注ぎ口を「そこで手を洗うんだよ」って言ってリアクションを楽しむサイコパスと同じ仕打ちですね。

 

そうした利益配分の問題は、既に売ってしまったキャラクターではどうしようもできません。そんな中、社の一部門であるMARVELエンターテインメントが打ち立てた計画というのが、現在自社に権利があるもの、あるいは映像化がなされず権利が返ってきたものを使って映画を作ろうというもの。コケれば再び権利を失うという条件付きで銀行から得た資金で設立されたのが、現在我々を楽しませてくれているMARVELスタジオズ、ということになるのです。

 

さて、ドえらい複雑なお話でお勉強感が拭えませんでしたがいかがだったでしょうか?一応スキあらば余談を挟みつつ分かりやすいたとえをして爽やかに進めていたつもりなんですけども。ちょうど合間に食べるガリのように。

 

つまり今回のテーマの答えは、「昔MARVELが権利を売っちゃったから」ということになります!これだけ聞くと単純明快!!

 

★「もしかして…」を感じさせた2作品★

斯くしてMCUX-MENを登場させることは叶わぬ夢となってしまったMARVELスタジオズ。少年のファン層を広げたいと睨んだディズニーの傘下に入ることで潤沢な資金源を確保したスタジオに対し、全国のアメコミファンはアベンジャーズX-MENの夢の対決を待ち望みながらも、現実を受け入れざるを得ない現実に涙を呑むばかりでした。しかし2015年、状況はわずかに変わります。

 

それが待望の2作目アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン』で登場したピエトロとワンダのマキシモフ兄妹。何を隠そうこの二人こそ、X-MENに大いに所縁のあるMCUキャラクターなのです!

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MCUでは秘密結社ヒドラの人体実験によってそれぞれ力を手に入れたことになっていますが、コミックス(つまり、本家本元のX-MEN)での二人は悪の親玉であるマグニートーさんの子供として登場しているのです。

 

先ほども言ったように実写映像化権を売っているMARVELには、X-MENにおける最重要ワード「ミュータント」も使えなくなっています。そのためMCUではこのようなマイナーチェンジがなされたというわけです。「いや、こっちのトロは三崎産なんで。おたくらのは大間なんで別です」みたいなもんです。

 

この双子の登場にファンは色めき立ちます。アベンジャーズ旋風が巻き起こっていたのも相まって「まさか合流か!?!?」となるも、20世紀フォックスは我関せずとばかりにシリーズ新作を公開。

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割りを食ってしまったピエトロ君。

 

 

映画会社の垣根を超えて共演することは叶わないのか…そう思われた矢先に、さらなる出来事が起こります。

 

それが2016年、『シビル・ウォー:キャプテン・アメリカでのことでした。公開された第1弾の予告編。そこに現れたのが、X-MEN同様、同じスクリーンで観ることは叶わないとされていたスパイダーマンだったのです。

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その時歴史が動いた

 

彼もその昔、SONYに権利を売り渡されていたキャラクターの一人。サム・ライミ監督版のスパイダーマン』(02年)以来、主演や年齢設定を変えつつもコンスタントにヒットを放っていたSONYが、遂にMARVELと手を組んだ。己の目を疑う光景がそこにはありました。

 

その後もSONYとスタジオの関係は続き、単独主演作2本に加えてアベンジャーズの作品にも登場するなど、ウン十年前なら確実に実現しなかったであろう光景がいとも容易くスクリーンを席巻しました。

 

X-MENのキャラは出たし、権利を持っていないスパイダーマン君も難なく登場している。こうなってくるとやはり再燃してくるのが、MCUよりも長い歴史を持つX-MENとの夢のクロスオーバー。誰もが「あるぞ」と僅かながらに期待の炎に薪をくべ始めたその時、とうとうあの「大事件」が起こります。

 

★お金ってすごい★

2019年も終わりにさしかかろうとしていた頃でしょうか。「大事件」はそんななんてことない日常の中起こりました。

 

「ディズニーが20世紀フォックスを買収した」というニュースが飛び込んできたのです。

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要するに今こういう状態ね。

 

鍛えられたアメコミ好きは「ディズニーと書いてMARVEL、20世紀フォックスと書いてX-MENと読む」という生活習慣になっておりますので、それはそれは驚きました。思いの外エンガワ寿司にワサビいっぱい入ってた時くらいびっくりしました。エンガワってワサビ多い率高い気がしますよね。味を楽しませろよ。

 

結局買収という結果に落ち着いたということは金に物を言わせた感がエグいですし、長年看板キャラクターとして愛されてきたウルヴァリン先生=ヒュー・ジャックマンさんが卒業する前に競演が叶わなかったというのは一抹のもの悲しさがありますが、アメコミ好きとしてはこれ以上ない朗報であることは間違いありません。

 

もうすでに企画も進行中とのこと。『アベンジャーズ VS X-MEN』なんていう原作もあるくらいですから、是非とも素晴らしいクロスオーバーにしていただきたいですね!そして実現された暁には!

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みんな!!寿司食おう!!!!